2015年3月13日金曜日

やり直しのための信号数学: 第 1 章 信号数学の準備

本業で必要になって...

1.3 信号数学の予備知識

ある信号 \( x(t), y(t) \) を 2 回サンプリングしてサンプル列 \( (x_0, x_1), (y_0, y_1) \) を得たとする。 これは 2 次元のベクトル \( \boldsymbol{x} = (x_0, x_1), \boldsymbol{y} = (y_0, y_1)\) を得たと考えることができる。 これらの信号の相関、つまりこれらのベクトルの相関を考える。 これらのベクトルの特徴の一つとして大きさを考えることができる。 この大きさの差 \[ d(\boldsymbol{x}, \boldsymbol{y}) = \|\boldsymbol{x} - \boldsymbol{y}\| = \sqrt{(x_0 - y_0)^2 + (x_1 - y_1)^2} \] がこれらのベクトル、つまり信号の相関を表す量の一つということになる。 (この縦 2 本線の絶対値はノルムといい、N 次元ベクトルのより一般化した大きさに相当する量になる。 ここでは通常の絶対値と同じ定義を使っているが、ノルムの要件を満たせば異なる、より都合のいい定義を使うこともできる。実際、後で違う定義が出てくる。)

さて、この 2 つのベクトルの成す角度もこれらのベクトル、2 つの信号の相関と考えることができる。 (同じ方向を向いていれば完全に相関がある、\( \pi / 2 \) 違う方向を向いていれば全く相関がないと考える。) 内積の定義 \[ \langle \boldsymbol{x}, \boldsymbol{y} \rangle = \|\boldsymbol{x}\| \|\boldsymbol{y}\| cos(\theta) \] より \[ cos(\theta) = \frac{ \langle \boldsymbol{x}, \boldsymbol{y} \rangle }{ \|\boldsymbol{x}\| \|\boldsymbol{y}\| } \] がこの相関を表す量ということになる。 この量を \( r \) と置き、相関係数と呼ぶ。 \( r \) が 1 なら完全な相関, 0 なら相関なし、-1 なら負の相関ということになる。

任意のベクトル \( \boldsymbol{x} \) を正規直交基底ベクトル \( { \boldsymbol{e_1}, \boldsymbol{e_2} } \) の線形結合 \( \boldsymbol{x} = x_1\boldsymbol{e_1} + x_2\boldsymbol{e_2} \) として表すには \( (x_1, x_2) \) を \[ x_1 = \langle \boldsymbol{x}, \boldsymbol{e_1} \rangle \\ x_2 = \langle \boldsymbol{x}, \boldsymbol{e_2} \rangle \] として求めればよい。

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